10年くらい前、一人暮らしをしていた大学時代の話です。車からの泥はねで、運悪く油も混じったようなものをスーツにつけられてしまいました。慌てて家の近くにあったチェーン店の(おそらくNというチェーンだったと思います。当時のポイントカードが緑色の紙製のものでした)クリーニング屋に出しました。
チェーン店のクリーニング屋では、お手上げだったスーツ。個人経営店に望みを託す
当時ほとんどクリーニング屋は利用していませんでした。どうしても洗えない毛布や汚れがひどいコートを年に1~2回、個人経営の店に出すくらい。でもその日はいつもお願いしていた個人経営の店がお休みで、慌てていたので初めてそのチェーン店を利用しました。
結果は、まったく汚れは落ちず、ただこれ以上は生地を傷めるのでできませんというメッセージ付きの紙が縫い付けられて返ってきただけでした。お気に入りのスーツだったため、悲しくなり、駄目もとでいつもお願いしていた個人経営の店に、そのままの状態で持って行ってお願いしてみました。
見違えるほどキレイになったスーツ。特別料金もかからず、落としていただきました
いつもより長く預けていたと思います。しばらくして電話をもらって店に行ってみると、今度はちゃんと綺麗に落ちて元通りになっていました。しかも、特別料金を余分に請求されることもありませんでした。それまでクリーニング屋は、さほど違いはないだろうと思っていたのですが、その一件があってから、料金や質を比較してみようと思いました。
しばらくの間は、近所のクリーニング屋を何軒かコロコロ変えては試してみました。料金だけでいえば、シミを落としてくれた個人経営店は少し高かったですが、結果としてその店が一番綺麗にクリーニングしてくれました。シミ抜きだけでなく、畳み方などにおいてもです。
私は当時、田舎から出てきた寂しさもあったのか、その個人経営店の老夫婦と店を訪れるたびに話をしておりました。簡単な世間話でしたが、今となってみれば、その老夫婦は、もしかしたらそんな私のことを思って必死で綺麗にしてくれたのかもしれません。
いろんなクリーニング屋を試した結果、やはり個人経営のクリーニング屋に戻る
あれから10年程たった今、当時住んでいた場所にもう一度行く機会があり、そのクリーニング屋の前を通り過ぎると、残念ながらその店はありませんでした。格安の新しいチェーン店クリーニング屋が増える中、そのような個人経営の店はきっとこれからもどんどん減っていくのでしょうか。
クリーニングに出された服の持ち主を思いながら丁寧に仕事をする、そんなお店が減っていくのかと思うと、何だかとても寂しい気持ちになります。最終的にいろんなクリーニング屋を試しましたが、個人経営店が一番使いやすく安心できました。